建設業におけるファクタリング
建設業において工事が完了してから工事代金が入金されるまでの資金繰りは大きな悩みの一つです。
工期が長期間に亘ることも多く、その間の材料仕入や人件費等の経費をどうやって支払えば良いのか。銀行融資を受けるにも「時間が掛かる」「審査が厳しい」「提出書類が多い」等の問題があります。
しかし、ファクタリングを活用すると素早い資金調達が可能となるのです。本記事では、どうしてファクタリングを利用すると良いのか解説していきたいと思います。
建設業の資金調達で重要となる銀行融資
多くの場合、建設業の資金調達においては、銀行融資が重要となります。しかし、銀行融資は「企業の財務内容に問題がないこと」、「取引銀行から枠設定をしても問題ないと言えるだけの信用を得なければ難しい」ものです。
その他、銀行融資での資金調達としては、受注工事代金を返済引当金とする引当融資も一般的です。ですが、工事引当融資の場合、企業側の財務内容は勿論のこと、銀行による現場確認、出来高状況確認、出来高未収金の範囲内での借入になる等の制約も発生してきます。公共工事等であれば、間違いなく工事代金が入金されますので、引当工事として対応出来る可能性は高いですが、民間企業発注工事の場合、発注先の内容によっては審査が厳しくなるもあります。
また、実際に支払が受けられるのは、工事が完了してから1～3ヶ月後が一般的であり、中には半金半手と呼ばれる、半分が現金、半分が手形での支払になってしまうこともあります。
下請け依頼の際にまとまった資金が必要
建設業では下請け依頼の際にまとまった資金が必要になります。大きな金額の工事を請けた場合、完成までに必要な材料代や従業員への賃金等の経費を自社の資金で立て替えるのは難しいですから、工事完了までの間には一部を前金として受領するのが一般的です。
当然のことながら、下請け業者へ依頼する場合も、一部を前金として支払うことになります。自社が下請けとなった際に、元請けから「工事完成後に入金があるから、それまで待ってね」となるとどうでしょう。資金繰りが上手く回らず、仕事はあるのに倒産してしまうこともあるかもしれません。
借入でない資金調達として有効なファクタリング
このように、建設業ではさまざまなタイミングでまとまった資金が必要になります。このため、融資だけに資金調達を頼るのは難しくなることもあるでしょう。また、借入が増えると決算書の内容にも関係します。
金融機関から融資を受けた場合、決算書上の貸借対照表の負債に借入金が計上されます。借入があることは決して悪いことではありませんが、資産と負債のバランスが悪いと経営状態が悪いと判断されてしまいます。そうなると融資が受けられなくなってしまい、資金調達が出来ないことになってしまいます。
一方、ファクタリング契約は資産を売却して現金化する売買契約です。融資とは異なり、借入ではないという点がポイントになります。
貸借対照表上でも資産の中で売掛金が現金に変わっただけであり、決算書の見栄えは変わらず、資金調達が出来ていることになります。また、銀行融資と違い、厳格な審査が有る訳ではありませんから、財務諸表の提出等も不要で、素早い資金調達が可能となるのです。
建設業振興基金によるファクタリング契約保証事業
建設業のファクタリングについては、建設業振興基金によるファクタリング契約保証事業について知っておくとよいでしょう。
一般財団法人建設業振興基金は、建設業に関する様々な支援を行う団体ですが、これらの活動の他に建設業者を対象に資金援助や保証業務等も行っており、ファクタリング契約時の保証業務も行っています。
ファクタリング保証業務とは？
ファクタリングは将来的に受け取る予定である売掛金を先に受け取って資金繰りの円滑化が図れるものですから、売掛先から代金支払がなされた際にファクタリング企業へ支払うことになります。
そのため、売掛先の倒産等による売掛金が回収できないというリスクが潜在しています。通常の契約では、売掛回収不能リスクはファクタリング業者が負う形になりますから、金額の大きな回収不能が発生するのはリスクです。しかし、上記のような事態に陥っても、（一財）建設業振興基金による損失保証されることで、ファクタリング業者側もこれまでより安全に契約出来るようになりました。
まとめ
建設業の資金調達方法として銀行融資とファクタリングの違い、ファクタリングの有効性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか？
ファクタリングによる資金調達を行うことで、これまで資金繰りに困っていた中小事業者の方でも、素早く資金調達が出来、資金繰りの円滑化が図れるようになります。建設業界においてもファクタリング需要は高まっており、今後、より活発になってくることが予想されます。資金調達の手段として、ファクタリング利用の検討をしてみてはいかがでしょう。