ファクタリングのメリット・デメリットについて紹介!
中小企業の資金調達方法として注目されている「ファクタリング」のメリット・デメリットを紹介します。
ファクタリングのメリット
まず、ファクタリングを利用するメリットについて説明します。
資金調達までの時間が早く審査がゆるい
資金繰りに困窮した場合、多くの企業では銀行などの金融機関からの融資を検討するでしょう。しかし、銀行融資の審査基準は厳しく、はじめて融資を申し込んだ場合だと、審査から実際に融資が実行されるまでには3週間から1か月程度かかります。しかも、審査に時間がかかったのにもかかわらず断られてしまうこともよくある話です。
一方ファクタリングならば、業績が悪化していて銀行融資を断られるようなケースでも、売掛金を買い取ってもらうことで資金調達ができることがあります。審査も早く、申込から実際に入金されるまでに最短1日から数日程度です。このような点でファクタリングに利便性を感じる方も多いでしょう。
担保・保証人の用意をする必要がない
特に業歴が浅く、業績が不安定な中小企業が銀行から融資を受けようとすると、融資額に応じて担保や保証人を要求されます。担保は企業が所有する不動産・定期預金・債権などを差し入れることを求められますが、業歴が浅いと所有する資産がそもそも少なく融資の枠が増やせないこともあるでしょう。一方でファクタリングの場合は担保や保証人を差し入れる必要がないので、資産が少ない企業でも資金調達手段として利用できるのが魅力です。
売掛先が債務不履行となっても契約者が返済する必要がない
ファクタリングは商取引で発生した売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、実際の売掛債権の決済日より前に資金調達できる方法です。ファクタリング会社は
売掛先の信用力や業績などで判断しファクタリングの可否を決めますが、リスクに合わせた手数料設定を行います。そのため万が一、売掛先が債務不履行になってしまっても契約者が弁済する必要はありません。手形を金融機関に買い取ってもらうことで期日より前に現金化する「手形割引」は振出人が支払できなければ裏書人に支払いを遡求されますが、ファクタリングは売掛債権を売却してしまったらその後契約者が責任を取る必要がない点でメリットがあります。
負債として貸借対照表に計上されない
銀行融資を利用すると貸借対照表上に負債として計上され、見栄えが悪くなります。一方でファクタリングは売掛金から現金に振り返るだけ(手数料分を売掛債権売却損として計上する必要があります)で負債計上はされません。負債が大きいと融資が必要な時に融資を受けられないということもあるので、万が一に備えて融資枠を残しておきたい場合にもファクタリングは有効なのです。
ファクタリングのデメリット
では、ファクタリングを利用するデメリットはあるのでしょうか。
手数料が高い
ファクタリングは貸金業法が適応されないので利息の上限がありません。通常融資の場合は融資額に合わせて年利15%~20%が上限となりますが、ファクタリングはこのような規制が関係ないのです。ファクタリングは売掛金の金額の1%~30%が手数料となり、数か月の利用で数十%の手数料となるので融資に比べると非常に高くなります。
ファクタリングには2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがありますが、売掛先にファクタリングの利用を通知しない2者間ファクタリングの方が手数料は高くなる傾向にあります。2者間ファクタリングは、売掛債権の決済時に契約者の口座を介してファクタリング会社へ売掛債権の決済額を支払います。契約者の口座を通せば、資金を使い込まれてしまうリスクが大きくなるので、2者間ファクタリングの手数料は高くなるのです。
取引先にファクタリング利用を知られる可能性がある
3者間ファクタリングは、契約者・売掛先・ファクタリング会社の3社で契約を結びますが、2者間ファクタリングは契約者・ファクタリング会社だけで契約を結び、売掛先にファクタリングを利用することを知らせる必要がありません。しかし、第三者対抗要件(債権者であることを主張する権利)を満たすために債権譲渡登記を行い売掛債権の所有者を契約者からファクタリング会社へ移す手続きを行う場合もあります。この手続きをしなければ、売掛債権の所有者があいまいになってしまうからです。この登記は誰でも確認できるので、万が一売掛先が登記内容を調べればファクタリング利用の事実が判明してしまいます。2者間ファクタリングでも利用していることを売掛先に絶対に知られないという保証はありません。
ファクタリングの総評
ファクタリングは銀行融資に比べて審査がゆるく「資金調達までの時間が早い」「担保・保証人を用意する必要がない」という点で銀行融資の利用が難しい中小企業にとってメリットがあります。売掛先が倒産するなどして債務不履行となった場合に、契約者が変わりに弁済をする必要がない点も安心でしょう。銀行融資とは異なり、負債として計上されないので貸借対照表の見栄えも悪くなりません。
しかし、一般的な融資と比べると手数料は高くなります。貸金業法のように利息の上限が規制されないので、非常に高い手数料を要求するファクタリング会社も存在します。また、2者間ファクタリングを利用しても完全に売掛先に利用していることが知られない保証はありません。メリット・デメリットをよく比較して利用することをおすすめします。