NPO法人とは
会社とは違う法人形態の一つにNPO法人があります。NPO法人とはどのような組織で、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。本記事では、NPO法人についてどのような法人なのか解説すると共に、資金調達法について解説していきたいと思います。
NPO法人の特徴
NPO法人はNot-for-Profit Organizationの略で、日本語では非営利法人と訳されます。
「非営利法人」という名称通り、営利目的の活動はできませんが、お金儲けをしてはいけないというわけではなく、「配当を分配できない」法人となります。
株式会社であれば、事業を通して得た利益は株主に配当金として分配されますが、NPO法人の場合は利益を分配することはできず、事業に使用することになります。
また、NPO法人で働く人は全員ボランティアなのかと思う人もいらっしゃいますが、そんなことはなく、一般の企業と同じように給料が支払われるのが一般的です。
NPO法人のメリット・デメリット
ここではNPO法人のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1:社会的な信用を得られる
法人を設立することで、個人事業主として事業に取り組むのと比べて社会的信用を得られやすくなります。また、株式会社など他の法人と比べてもNPO法人は政府の認証を受けて設立するものなので、より高い信用を得られると言えるでしょう。
メリット2:税制優遇を受けられる
個人事業主として事業を行っていると、事業を通して得られた利益が高くなるほど税率も高くなる累進課税制度のもとで税金を支払う必要がありますが、NPO法人を設立すると累進課税制度ではない法人税の課税対象となります。売上が一定以上になったときは事業の内容に応じてNPO法人を設立することを考えてもよいでしょう。
メリット3:助成金や補助金等を利用しやすくなる
NPO法人は政府の認証を受けて設立する法人ということもあり、国や地方公共団体による各種助成金や補助金等を利用しやすくなっています。もちろん、個人事業主や株式会社、合同会社等でも利用できる助成金や補助金もありますが、こうした手段での資金調達がよりやりやすくなるという点は大きなメリットだといえるでしょう。
デメリット1:設立に時間がかかる
NPO法人は設立する都道府県から認証を得る必要があることから、手続き開始から設立まで3~5カ月程度かかります。株式会社や合同会社が2週間~1カ月程度かかるのと比べると、長い期間がかかる点に注意が必要です。ただし、設立時に登記費用がかからないという点はメリットだといえるでしょう。
デメリット2:財産の名義変更に手続きが必要
NPO法人は文化活動や保護活動を目的とすることで、事業用不動産や車両を法人所有することが可能です。所有するためには、NPOに関わる財産の名義変更が必要になります。名義変更の際に、相続税を初めとした各種税金の支払いが生じることがあるので注意が必要です。
デメリット3:利益が出なくでも法人住民税を支払う必要がある
NPO法人であっても法人ですから、税法で収益事業と定められている種類の事業を行う際には税金を納める必要があります。法人の税金は先述の通り、個人の税金と異なり、利益額に応じて税率が高くなることがありません。ただし、法人住民税に関しては、仮に利益がまったく出なくても毎年7万円の税金を納める必要があります。
NPO法人の資金調達法
NPO法人の資金調達法としては、他の法人と同じく融資や助成金、補助金を活用するといった方法があります。金融機関からの融資についても他の法人と同様に審査を受ける必要がありますが、NPO法人は政府の認証を受けている法人ということもあり、日本政策金融公庫からの融資を受けやすいといった特徴があります。また、助成金や補助金についても他の法人よりも適用を得やすいことが多く、こうした方法で資金調達できる可能性が高いという点は大きなメリットだといえるでしょう。
NPO法人はファクタリングを利用できるの?
ところで、NPO法人はファクタリングを利用することはできるのでしょうか?結論からいうと、NPO法人であってもファクタリングを利用することは可能です。
もちろん、事業形態によって売掛金が発生するかどうかがポイントとなります1。特に行政からの下請けの場合は、売掛先の信頼が非常に高いということもあり、ファクタリングも利用しやすいといえます。ちなみに、こうした行政に対して有する債権については、三者間ファクタリングがおすすめです。
まとめ
NPO法人の特徴やメリット・デメリット、資金調達法についてお伝えしました。NPO法人は非営利法人という名称から勘違いされることが多いですが、事業を通して利益を得ること自体は可能で、ファクタリングなどの資金調達についても、一般的な法人と比べて、同じように利用することができます。特に、事業の内容が行政からの下請けの場合には、優良な売掛債権ですから、ファクタリングも利用しやすいといえるのではないでしょうか。