ABLとの違いとは？

2020/09.30

ファクタリングと同様、売掛債権を利用して資金調達する方法にABLという方法がありますが、ABLとファクタリングにはどのような違いがあるのでしょうか？

本記事では、ABLについてその特徴やメリット・デメリットをお伝えするとともにファクタリングとABLとの違いを比較していきたいと思います。

ABLとは？

ABLとは「Asset Based Lending」の略で、金融機関に対して売掛債権を担保に提供することで融資を受ける方法です。

住宅ローンやアパートローンでは融資対象の不動産を担保として提供しますが、ABLはここでご紹介する売掛債権の他、商品の在庫や農畜産物等も担保にできるという特徴があり、近年、資金調達手段の一つとして多く利用されるようになってきています。

ABLのメリット

ABLのメリットは売掛債権を担保として融資を受けることで、担保なしでは受けられない額の融資を受けられることが挙げられるでしょう。

また、不動産を担保として融資を受けることは一般的に行われていますが、こうした不動産を持っていなくとも、またすでに担保として提供してしまっている場合でもABLで融資を受けられるという点もメリットだといえます。

ABLのデメリット

ABLのデメリットとしては融資までに2週間～1カ月など時間がかかることが挙げられるでしょう。

急いで資金調達したいというケースではABLは適していないことが多いといえます。また、審査の際には売掛債権の動きなど金融機関に細かくチェックされるのに加え、融資実行後も金融機関に定期的に報告する必要があります。

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社の細かいところまで金融機関に把握されてしまうことをデメリットと感じる経営者の方も多いでしょう。

ファクタリングとABLとの違いを比較

ここでは、いくつかの項目に分けてファクタリングとABLとの違いを比較していきたいと思います。

担保の違い

ABLもファクタリングも売掛債権を担保とすることができます。ただし、厳密にいえばABLとファクタリングとでは、売掛債権の取り扱いが異なることがあります。

ファクタリングの場合、主に売掛債権を「売却」することによりその債権の額に応じた金額をファクタリング会社から受け取ることができますが、ABLの場合、売掛債権を担保として提供することになります。しかし、売掛債権は流動的なもので、融資実行後に売掛債権がなくなったら（売掛金が支払われたら）担保が消滅してしまうのでは、と不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この点、ABLでは売掛債権が消滅しても次の月にはまた新たに売掛債権が生じることを前提としており、特定の売掛債権が消滅しても担保が消滅することにはつながりません。

このことは、次にご紹介するファクタリングとABLの審査の違いにもつながります。

審査の違い

先述の通り、ファクタリングでは売掛債権そのものを売却してその対価としてお金を受け取るという性質から、主な審査対象はファクタリング利用会社ではなく、売掛先の企業となります。

これにより、仮にファクタリング会社の業績が悪くとも、売掛先企業の経営状況に問題なければ資金調達できるため、特に金融機関からの融資など一般的な方法では資金調達が難しい企業にとって有効な資金調達手段となりえます。

一方、ABLの場合特定の売掛債権ではなく、安定して売掛債権が発生することを前提に融資がされるため、安定した経営がなされているかが審査されます。また、融資という性質上、十分な返済能力を持っているかどうかも重要なポイントとなります。

資金調達までの時間の違い

ファクタリングの場合、売掛債権の売買という性質上、売掛債権の審査さえ済んでしまえば比較的短期間でお金を手にすることができます。売掛債権は遅くとも2～3カ月後には売掛先企業からお金を振り込まれるのが一般的で、ファクタリングを利用する会社は、多くの場合この振込を待っていると経営状況が危うくなるという状況にあります。

こうした中、短期間で売掛債権を現金化できるという点に価値があると感じることも多いでしょう。

一方、ABLの場合特定の売掛債権ではなく、売掛債権を担保にするものの、基本的には企業の経営状況を見て融資がなされることになります。

このため、審査の際には企業の経営状況や財務体質など細かなところまで見られます。

こうした違いをまとめると、ファクタリングは一時的に大きな売掛債権が発生して、入金を待っていると経営状況が厳しくなるといったケースや、何らかの大きな費用が発生して売掛債権をすぐに現金化しないといけなくなったというケースで利用されることが多いといえるでしょう。

ABLの場合は不動産など十分な担保を提供できない比較的新しい企業において、短期的な運転資金というより、将来的な企業の成長のために資金調達するといった目的で利用されることが多いといえます。