赤字決算における審査

赤字決算における審査

企業における資金調達法で最も一般的といえる金融機関による融資審査では、自社の業績が主に見られることになります。基本的には、赤字状態での融資の審査は厳しいものとなるでしょう。一方、売掛債権を売却するファクタリングの場合、赤字状態でも資金調達することができるのでしょうか?

本記事では、赤字決算におけるファクタリングの審査について解説していきます。

 

赤字状態でもファクタリングできる?

金融機関から融資を受けた場合、融資を受けた後に返済していく必要があることから、その返済原資について審査が行われることになります。基本的には、返済原資は事業を通して得た資金となるため、企業が赤字状態だと将来的に回収できない見込みが高く、審査で承認を得ることは難しいでしょう。

一方、ファクタリングの場合は審査の方法が金融機関の融資審査とは異なります。

 

原則として赤字状態でもファクタリングを実施できる

ファクタリングは売掛債権を売却して現金化するものなので、資金調達という点では銀行の融資と同じですが、審査の内容は大きく異なるといってよいでしょう。

先述の通り、金融機関の融資審査では赤字だと審査の承認を得ることは難しいですが、ファクタリングの場合は、赤字であっても実施できる可能性があります。

融資の審査でも、ファクタリングでも、資金を回収できるかどうかがポイントとなりますが、ファクタリングの場合は売掛債権の債務者、つまり自社ではなく売掛先企業の業績等が好調であるかが見られることになるからです。

 

契約形態別ファクタリング審査の違い

ファクタリングには2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがありますが、両者には審査の内容に若干の違いがあります。

 

2者間ファクタリングにおける審査

2者間ファクタリングでは、ファクタリング利用者とファクタリング会社が直接契約をして、債権の譲渡を行います。

債権が譲渡されるとはいえ、売掛先企業にはそのことが知らされないため、売掛金は売掛先企業から一度ファクタリング利用者に支払われ、その後、ファクタリング利用者からファクタリング会社に入金されることになります。

このため、売掛先企業の業績はもちろん、取引先がきちんとファクタリング利用者に売掛金を入金するかどうかや、ファクタリング利用者の信用性も審査で見られると考える必要があります。

 

3者間ファクタリングにおける審査

一方、3者間ファクタリングの場合は、ファクタリング契約を結ぶと、債権がファクタリング利用者からファクタリング会社に譲渡されることになります。

このため、3者間ファクタリングの審査では、債権の実態や売掛先がしっかり支払えるかどうかが見られることになります。

 

双方とも売掛先の業績等が主な審査対象になる点に違いはありませんが、細かくみると若干の違いがある点を押さえておくとよいでしょう。

 

特に2者間ファクタリングにおいては、利用者の人となりといった点が重要になるため、ファクタリング会社との間で信頼関係を築いておくことも大切です。

 

黒字でもファクタリングできないことがある?

ファクタリングは赤字でも実施できる可能性がある旨をお伝えしましたが、反対に黒字にもかかわらずファクタリングの審査が否決されることがあります。ここでは、どのような場合に自社が黒字でもファクタリングの審査が否決されてしまうのかついて見ていきたいと思います。

 

売掛先の業績悪化

先述の通り、ファクタリングでは主に売掛先が債権を支払えるかどうかが審査の主なポイントとなります。このため、ファクタリング利用者の業績に関わらず、売掛先の業績が悪化しており、将来的に倒産も考えられるようなケースでは、ファクタリングの審査に通らない可能性があるでしょう。

 

書類が揃っていない

審査を受ける前提条件を満たしていないケースです。3期分の決算報告書や会社の登記簿謄本、印鑑証明書がないなど書類が揃っていない場合には、審査に通らない可能性があります。

 

なお、設立したばかりの法人であっても、ファクタリングを利用することはできますが、確定申告をまだしておらず決算書がないケースがあります。こうした場合、ファクタリング会社によっては売上台帳など他の書類で審査してもらえることもあるため、確認してみるとよいでしょう。

 

2者間ファクタリングの場合、ファクタリング会社から売掛先企業についての情報や書類を求められることがありますが、十分に情報を用意できない場合には審査ができず、否決となってしまう可能性があります。

 

まとめ

赤字決算におけるファクタリングの審査についてお伝えしました。

ファクタリングの審査では、主に売掛先企業の業績等が見られるため、ファクタリング利用者が赤字であっても売掛先企業の信用情報次第でファクタリングを実施できるのが一般的です。

 

一方、ファクタリング利用者が黒字であっても売掛先企業の業績が悪い場合や、審査に必要な書類を用意できない場合にはファクタリングを実施できない可能性がある点に注意が必要です。